アイデンティティー
社会人3年目になり、かなり色んな仕事を任されるようになって、忙しいけれど充実した毎日を過ごしていました。
ただ、漠然とした不安はありました。というのも、詳しくは別の機会に書こうと思いますが
今の時代にひとつの会社にしがみつくこと自体がナンセンスであり、グローバル社会で生き残っていくためには、自分の能力を高めるしかない
といった論調が、当時も今もとてつもなく強い力をもっていて、そのような意見を本やネットでよく目にしていたからです。
そんな中、仕事が忙しすぎて、冗談で「会社辞めてーw」と言ったことがあるのですが、それを聞いた友達から、
「それじゃあただの◯◯(僕の名前です)になるで。今これだけ高い給料もらってるのも、いい家に住めてるのも、女の子とチャラチャラできるのも、ウチの会社の◯◯やからやで。」
と言われました。
友達から言われたこの指摘に愕然としました。
というのも、僕の漠然とした不安を的確に言葉で言い表せられたような気がしたからです。
仮に当時、僕が会社をクビになったとしても、同じ待遇で雇ってくれる企業はどこもないと思っていましたし、実際にそうだったでしょう。
というのも、当時支払われていた高い給与は、大企業に勤めている一社員に支払われているものであり、僕自身の能力に支払われているものではないからです。
会社を辞めたら、何もない自分がいました。
でも、よくよく考えてみると、別に高い給料が欲しいわけじゃありませんでした。
いい家に住みたいわけじゃありませんでした。
女の子からもてたいわけでもありませんでした。
僕はきっと、アイデンティティーが欲しかったんだと思います。
どこどこ会社に勤めている自分ではなくて、僕はこういうことが人より上手で、そういうアイデンティティーをもった僕を雇うために、もしくは僕がつくるサービスのためにお金を出してもいいっていう人が一定数いるような、そういうアイデンティティーが欲しかったんだと思います。
そして、後悔しない人生をすごしたかった。
自分らしい、自分にしかできない人生を送りたかった。
多分誰かにこの話をしても理解されないし、中2臭くて恥ずかしいので誰にもこの話はしてないんですけどw、これが会社を辞めた1番大きな理由です*1。
今では、医師であることがアイデンティティーになるわけではないし、自分らしい人生ってなんやねんwって思うけれど、そのときは直感的に医師しかないと思いました。
そして、僕の人生の方向性を大きく変えた四月の半ばの夜。
それはまた次のエントリーで紹介します。
*1:もちろんその他に色々細かい理由はありますが、それはまた別の機会に紹介します。